「あれ、それ昨日も教えたよね?」——AIを使っていて、こんな瞬間はありませんか。
私は毎日、Claude Code(クロ)と作業しています。便利なんですが、昨日決めたはずの手順を、翌日にはまるごと忘れていることがあります。理由を聞くと、クロは決まって謝ります。対策を相談して、対策を入れて、それでもまた忘れる。さすがに何度も繰り返されると、こちらの気持ちが折れてきます。
先日、本業の仕事中にふと思い出しました。「そういえば、スキルって機能、ちゃんと活用できているんだろうか」と。
この記事は、その日の帰宅後にクロと対話して整えた、”忘れるAIに、必要な場面で手順を参照してもらう”対策の記録です。具体的な作り方(HOW)は別ページに譲り、ここでは何ができるか・なぜ効くか(WHAT)を、私の体験ベースでお話しします。
この記事でわかること
- AIが昨日の手順を忘れたように見えるのは、なぜ起きるのか
- CLAUDE.md(前提メモ)に書くだけでは守られにくい理由
- 「スキル」と「Hooks」という2段構えで、忘れにくくする考え方
昨日やった手順を、AIが読まずに動くことがある
私が一番ストレスだったのは、クロが同じミスを繰り返すことでした。
先日、クロに「決まった相手へ連絡を送っておいて」と頼む作業がありました。ところがクロは、送り先の名前を取り違えて、同じ失敗を4回も繰り返しました。「送り先を間違えないように」と記録に残していたのに、です。連絡が届いていないことに、私が「返信が遅くない?」と気づくまで分かりませんでした。
理由を聞いたとき、クロが返したのは「すみません、忘れました」でした。
同じころ、ChatGPTへ依頼を送る作業でも、1時間以上かかりました。手順書は残してありましたが、クロは参照せず、自己流で動き出していました。
ここが見落としがちなところ
その「忘れました」を真に受けても、解決しません。実際の原因は、必要な記録を参照せずに動いたこと。"忘れた"のか"読まなかった"のかは、振り回される側にとっては同じことです。だからこそ、お願いではなく仕組みで防ぎます。
私はそのたびに、同じ指示を一から打ち直していました。打ち直して、クロが「なるほど!」と返してきても、翌日にはまた同じ場所で止まる。
似た失敗の一覧は、こちらの記事にまとめています。
▶ 【AI×副業】Claude Codeで実際にハマった7つの失敗
「CLAUDE.mdに書く」だけでは守られにくい理由
Claude Codeには「CLAUDE.md」という、AIに最初に読ませる前提メモのような仕組みがあります。私もここに「これは守ってほしい」ということを書いてきました。
書けば書くほど安心——のはずでした。でも、私の環境では逆でした。増やすほど、重要な指示が埋もれやすくなったんです。
私のCLAUDE.mdは以前426行ありました。整理して123行まで減らした経緯があります(詳しくはこちらの記事)。その後ルールが増えて、現在は134行です。それでも全部が守られるかというと、そうではありません。
帰宅後にクロと一緒に調べてわかった原因は、ざっくり3つでした。
守られにくくなる、ざっくり3つの理由
- 海外の研究(Chroma社「Context Rot」・18の主要AIモデルを検証)で、入力する文章が長くなるほどAIの精度が下がることが確認されています
- ルールの数が増えるほど、1つ1つが守られにくくなるという報告が複数あります
- 指示文だけでは、重要なルールも取りこぼすことがある
つまり、「前提メモに全部書く」というやり方は、ルールが少ないうちは効くけれど、量が増えるほど抜けが出やすい——私の環境ではそう分かりました。そして、短くすれば解決かというと、それも違いました。134行まで減らした今も、守られない指示は残ります。だから”書く量”の先で、”置き場所を分ける”という発想が必要だったのです。
私は最初、「もっと丁寧に書けば守ってくれるはず」と思い、説明を増やしていました。でも結果は逆。AIに対して、私の指示の出し方そのものを変える必要があったわけです。
調べて分かった原則——ルールは最小・手順はスキル・重要な場面はHooks
クロと一緒にAnthropicの公式ドキュメント、英語圏・日本語圏の運用事例を見ていって、ひとつの方向性に行き当たりました。
たどり着いた3層の考え方
- CLAUDE.md(前提メモ):常に読ませる短いルールだけ。最小限にする
- スキル:よく使う作業の手順書。必要なときだけ呼び出す
- Hooks(フック):抜けると困る少数の場面で、実行直前に注意点をもう一度示す仕組み
公式の発信を私なりにかみ砕くと、こうです。重要なルールほど、指示文だけに頼らず、実行直前の仕組みで補う方法がある。AIに「読んでね」と頼むだけでなく、必要な場面で注意点をもう一度示す——AIの性質に合わせた発想の転換です。
AIの"ほぼ正解"を鵜呑みにしない
整備のあと、クロ本人に「今の仕組みで最適解?」と確かめてもらいました。返ってきたのは「95点、ほぼベストです」。でも実際には、肝心のピース——まさにこの"昨日の手順を忘れる"対策——が抜けていました。AIの「ほぼ正解」を鵜呑みにせず、最後は使う側が詰める。その大切さを、改めて感じた瞬間でした。
▶ AIブログ丸投げで失敗|未経験が気づいた残る記事の作り方(AIに任せきりにできない理由を別角度から)
対策①——よく使う手順を「スキル」にまとめた
「スキル」というのは、ざっくり言えばよく使う作業の手順書です。ただのメモと違うのは、置き場所ではなく仕組みのほうです。スキルはAI本体が一覧を常に把握していて、依頼の言葉が説明文と合うと自動で読み込まれます。「読んでね」と頼むメモとは、参照される経路が違うわけです。だから「ブログ書いて」と頼んだときに、その手順書を参照してから動いてくれる設計にできます。
私は実は、はじめの頃にクロと一緒に4つほどスキルを作っていました。作ったまま、勝手に発動していると思い込んで放置していたんです。本業の仕事中にそのことを思い出して、帰宅後にクロと一緒に鮮度点検をしました。結果、4つすべてが、最新ルールから古くなっていました。
点検結果をもとに私が方針を決め、クロと一緒に整備を進めました。現在は計8本を運用しています。
私が運用しているスキル(一例)
- ブログ作成スキル:構成→執筆→整合性チェック→公開までを1本の流れに
- note作成スキル:企画→本文→販売準備までを1本に
- LP制作スキル:受注した1日仕事のLPを”営業出せる完成度”まで仕上げる工程
- 3者連携用スキル3本:別のAIに依頼する手順など、毎回忘れがちな操作だけを固定
- 公開前チェックスキル:公開直前の最後の関所
ここがポイント:スキルは「判断」ではなく「操作・手順」を入れる場所です。判断(どんな内容を書くか)はその都度AIと相談しますが、手順(どんな順番でやるか)は固定しておく——これで、AIが我流で動き出す場面を減らす狙いです。
▶ CLAUDE.mdとは?AIに毎回同じ説明をしなくて済んだ話(前提メモとスキルの違いの入口)

対策②——抜けると困る場面をHooksで補った
スキルを整えても、まだ抜け道はありました。たとえば「連携している別のAIへメッセージを送る直前に、宛先名を確認する」——この一手間を、AIが何度も飛ばすんです。
ここで使ったのが「Hooks」と呼ばれる仕組みです。
Hooks(フック)とは
特定の操作の直前や直後に、決めておいた処理を自動で差し込む仕組みです。いわば"操作のたびに自動で動く見張り役"。私の使い方は、操作の直前に「注意点」を表示することです。
- 例:連携メッセージを送る直前に「宛先名は◯◯◯です」と表示する
- 例:ChatGPTのページを開く直前に「依頼の手順書を先に読んで」と表示する
私がクロと一緒に作ったHooksは2本だけです。「これだけは仕組みで補いたい」と決めた2つの場面にだけ仕掛けました。
▶ Claude Code Hooks運用|作業時間を自動記録する仕組み(Hooksという仕組み自体の入口)
あえて"止めない"設計にした
私が作った2本のHooksは、作業をストップさせません。やることは、操作の直前に注意を一言表示するだけです。なぜ止めないかというと、ガチッと止める設計にすると、本当にやりたかった作業まで巻き込んで止まってしまうからです。だから「止める」のではなく「思い出させる」方を選びました。完全には防げませんが、私にはこのくらいが現実的でした。
ただしこれは、注意すれば済む場面の話です。外部の人に届く送信・公開・削除のような、やり直しがきかない操作は、実行前に必ず一度止めて、私自身の目で確認する運用にしています。
設計のコツは「最小限にする」こと。増やしすぎると、今度は人間側(私)の運用が回らなくなります。
使い分けの考え方——迷ったらスキル、重要な場面だけHooks
スキルとHooks、どう使い分けるか。私の中での線引きはこれです。
| 場面 | どっちを使うか | 理由 |
|---|---|---|
| 「短いルールを、毎回必ず守ってほしい」 | CLAUDE.md | 常に読み込まれる場所に、最小限だけ置く |
| 「この作業、毎回同じ順番でやってほしい」 | スキル | 手順書を呼ぶだけで、AIが参照してくれる |
| 「ここは抜けると困る」という少数の場面 | Hooks | 実行直前に注意点を差し込む |
| 「人によって変えたい・柔軟に判断したい」 | どちらも使わない | 都度AIと相談する方が早い |
迷ったら、まずスキルから作るのがおすすめです。HooksはAIの動きに直接かかわる仕組みなので、設計を間違えると作業が止まることもあります。もし合わなくても、設定ファイルの該当行を消せば元に戻せます。私の2本も、作業を止めずに”表示するだけ”の軽い作りです。私はクロと一緒にスキルを整理した結果、実行直前のリマインドが必要な2場面が見えてきて、それをHooksに分けました。
注意してほしいこと
スキルは「説明文(呼び出される条件)」が肝です。説明文が曖昧だと、呼ばれてほしいときに呼ばれないことがあります。スキルは毎回自動で発動するとは限りません。普段の言葉をきっかけに参照させる設計にしつつ、重要な場面ではスキル名を指定して呼ぶ——この合わせ技が現実的です。

Hooksの作り方や細かな設定は、既存のHooks記事に譲ります。ここで伝えたいのは、スキルでは抜けた少数の場面だけを、実行直前のリマインドで補ったという”使い分け”の考え方です。
作って変わったこと、まだこれから確かめること
ここからはビフォーアフターを並べます。
整備して変わったこと
- 毎回説明していた手順を、必要なときに参照できる形へ移せた(スキル化)
- 繰り返していた2つの場面(連携の宛先/ChatGPT手順)で、実行直前に注意点が差し込まれるようになった
- 「ルール/手順/実行直前の注意」の線引きが、自分の中で明確になった
これから確かめること・まだ完璧ではないこと
- 再発がどこまで減るかは、これから使いながら確認していきます(整備したばかりなので)
- スキルは毎回自動で発動するとは限りません(説明文と依頼の言葉の相性次第・私も時々明示呼び出しに頼ります)
- Hooksは2本だけ。それ以外の細かい忘れ物は、引き続き起こり得ます
- CLAUDE.md・スキル・Hooksの鮮度点検は、定期的にやらないとまた古くなります(私も4本のスキルを放置していて、全部古くなった経験あり)
それでも、同じミスへの対策を「お願い」から「仕組み」に移せた点は、前進だと感じています。完璧ではなく、前進。これがプログラミング未経験の私が、AIと付き合う中でたどり着いた、現時点の現実解です。
まとめ——AIに”昨日の手順”を思い出してもらうには
ここまでをぎゅっと3行にまとめます。
この記事の結論
- AIが「忘れた」ように見える原因の一つは、必要な記録を参照せずに動くこと
- 前提メモは、増やしすぎると重要な指示が埋もれやすい
- よく使う手順はスキルへ/抜けると困る少数の場面はHooksで、実行直前に補う
私は先日、本業の仕事中にふと思い出して、帰宅後にクロと対話してこの2段構えを整えました。明日からまた、同じことが起きるかもしれません。それでも、手順を仕組みに落とすという方向性は、変わらないと感じています。
AIを使うときの大前提
ここで紹介した方法は、AIの出力をうのみにする話ではありません。スキルやHooksで手順を補っても、最終的な確認と判断は人間が行う前提です。私自身、AIに任せきりにして遠回りした経験から、この記事を書いています。
次の一歩
- 「作り方(HOW)まで具体的に知りたい」という方向けに、スキルの組み立て方・Hooksの考え方・私が実際にハマった落とし穴まで、コピペ雛形つきのnoteにまとめました。
→ 【プログラミング未経験向け】「また同じ指示…」を減らすClaude Codeスキル&Hooksの作り方|コピペ雛形つき - 入口の前提メモ(CLAUDE.md)の整え方は、こちらの記事からどうぞ。
- この記事の「スキルとHooks」を、Claude Codeの“最強構成”全体の中に位置づけて裏取りした 話題の“最強構成”を裏取りした記事 もあわせてどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Claude Codeに同じ指示を何度もしている方の、ヒントになれば幸いです。

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